園長のつぶやき No.8

2014年10月20日

これから幼稚園選びをするという方にも、今幼稚園ライフを楽しんでいる方にも、「子どもの心に寄り添うとは~」と言うテーマの第8回目「子ども達に豊かな原風景を」についてお話したいと思います。

8 子ども達に豊かな原風景を

子どもは感覚器官そのものなんですね。こどもは5感をフルに使って生きているのです。

大人は垢がついちゃって感覚が鈍っちゃている。子どもはその点、研ぎ澄まされている。

だから大変です。へんな感覚を与えると将来に影響するかもしれない。今が非常に大切なんです

ね。

あるカウンセラーの話ですが、原風景の大切さがよく分かると思います。

 

「大学生の娘さんがいて、父親がリストラされちゃって、この娘さんは大学に行ってるんです。だけどこの娘さんはどうしても大学生活を続けたいと、そういうことでカウンセラーのところに相談に行ったんですね。

学費と、学費っていうのは奨学金とアルバイトでまかなえるけれども、それは自分のことだけ。お父さんがリストラされちゃったんだから。家にもお金を入れなくちゃいけない。どうしたらいいだろうか、と。お母さんはすごくお嬢さん育ちで苦労を知らない。お父さんはいい会社にいたんだけれども、だから今までずっといい生活をしてきた。お嬢さん育ちだからきっと何もできないという感じのお母さん。弟はわがままいっぱいに育っちゃったから自分のことしかやらない、勝手にやる。こういう家庭だっていう。

カウンセラーはどう言ったかというと、彼女に幸せな子ども時代があったらこれを乗り切ることがきるだろう。そこで、彼女に子どもの頃の幸せな出来事を書いてみてって、こう言ったんだそうです。そしたら、こういう、いろいろ書いたんですが、お日様がよく当たる家だった。登校するときはいつも「いってらっしゃい」と手を振ってくれた。母親とよく散歩した。買い物にもよく行った。旅行にもよく連れて行ってもらった。参観日にもよく来てくれた。体が弱かったので、担任や保健の先生によく手紙を書いてくれた。その手紙を保健室に持って行って保健の先生と話すのがとても楽しかった。家族でトランプやゲームをよくした。先生は10くらい書いてと言ったのに、この人は30も書いた。この子は絶対に大丈夫だ、とそう思ったって言うんですね。

どうなったかって言うと、絶対にこの失われない幼児の宝物を持っていると、そういうときに絶対に大丈夫。この大学生は、まず自分で休学して、そして仕事して、その仕事をしたお金を家に入れるという生活を少しした。そのうちにお父さんが就職できた。そして、また自分は大学に戻って大学の生活を続けている。そうなると、絶対に失われない宝物を、今の時期に家庭で、子どもが楽しいなと思うことをたくさん作ってほしいなとそんなふうに思います。」

 

たとえば、美しい景色を見ればどんな気持ちだって癒される、そんな感性を持てたら最高だなと思います。そのためにはぜひ今、子どものころの空気とか風とか光とか木とか、そういった自然にたくさん触れさせてあげてください。そういった体験が大人になって原風景としてよみがえり、豊かな感性や発想の原点になります。子ども時代の原風景が、ゲームや室内遊びでは寂しすぎますよね。ぜひお子さんにそういう原風景を作ってあげてください。それも私達が今、わが子のためにしてあげられる大切なことのひとつなのです。

最後に一言、ぜひ子どもの心に寄り添ってみて下さい。今まで見えなかったことが見えてくるかもしれませんよ。