園長のつぶやき No.4

2014年9月22日

これから幼稚園選びをするという方にも、今幼稚園ライフを楽しんでいる方にも、「子どもの心に寄り添うとは~」と言うテーマの第4回目「レッツゴー!直接体験」についてお話したいと思います。

4 レッツゴー!直接体験

岩波幼稚園では、作品展が近づくと木工をやります。釘打ち、のこぎりなど見ていて危なっかしい時もありますが、とにかくやってみます。案の定、手に釘を刺したりかなづちで指を打ったり、のこぎりで手をひいたり、血が出たり滲んだりします。それでも子どもたちは果敢に挑戦し、痛い目を見ながら「そうか!こうやれば出来るのか!」と文字通り体得していくわけです。無理に教え込んだことと違い、そうやって体験を通して頭と体で覚えたことは一生ものになります。

また今、ものすごい勢いで子どもの運動能力が落ちてきています。逆に体格の面では、どんどん良くなってきています。その結果、骨折する子ども、頭部損傷の子どもが増えている、つまり大きな怪我が増えているのが現状です。転ぶだけで骨折する子ども、転んで手をつけないで鼻を骨折する子どもなどなど・・・高さの感覚も弱くなってきています。どのくらいから飛び降りたら大丈夫で、どのくらいなら無理という判断ができず、当然わかりそうな危険なところから落ちて大怪我をする子どももいます。

こういった面でも、実際にころんだりけがをしたり痛い思いを体験しながら、自分自身で、ではどうやったら危なくないのか、痛い思いをしないですむのか考えていくのです。谷田貝公昭先生は、「大怪我しない程度にケガをするのが子どものしごとである。」とおっしゃっています。

けんかもそうです。子ども達は集団生活や兄弟などの中で、けんかやトラブルを通して、泣いたり笑ったり困ったり怒ったり仲直りしたりしながら、ではお友達や周りの人とどうやったら仲良くできるのか、どういう方法をとれば自分の思いがうまく他人に伝わるのか、学んでいくのです。

命の問題にしてもまたしかり。花々や虫達の感触や弱さ、これに触れないまま大きくなってしまうと、命の大切さやはかなさは、口でいくら説明してもなかなか理解できないでしょう。

そういう体験が不足したまま大人になってしまったらどうなるのでしょう?たとえば、けんかもしたことがなく、たたいたりたたかれた経験もなく大人になってしまったら?人生に揉め事はつき物です。大きくなって体力がついてから、もめごとを収める方法も知らずなぐられた痛みも知らなかったら、カッとなって殴りあい大変なことになってしまいます。実際そういう話はしょっちゅうニュースでやっています。

幼児期においてはご家庭でも、出来るだけ色々な体験をさせてあげてください。それも本人の五感を使った実体験でなければなりません。特に外遊びの大切さ。歩き、走ること、いたずら、けんかなど、その他なにげない日常の遊びでも構いません。根気よく繰り返せばその能力に応じて、出来るようになってくるのが子どもです。見守れる範囲では、極力見守りたいものです。

ただし、命に関わるようなこと、特に危険度が高いことなどは即座に判断してやめさせることは言うまでもありません。