園長のつぶやき No.3

2014年9月15日

これから幼稚園選びをするという方にも、今幼稚園ライフを楽しんでいる方にも、「子どもの心に寄り添うとは~」と言うテーマの第3回目「子どもとの接し方のヒント」についてお話したいと思います。

3 子どもとの接し方のヒント

いい加減がイイ加減だと思います。あまりあれこれ言わず、とにかく、たくさん笑い合うこと そしてたくさんだっこしてあげてください。

だっこについて、ちょっと計算してみました。皆さんのお子さんが今ちょうど3歳だとします。子どもがだっこさせてくれるのが多めに見ても大体長くて9歳まで。そうするとわが子をだっこできるのは、あと7年、つまり2556日。男の子ならもっと短い。大体1826日しかないのですね。ぜひだっこを沢山してあげて下さい。乳児などは、「抱っこするのはおっぱいをあげるのと同じ」とも言われています。

次に、「子どもは決して見下した存在ではない」ということについてふれたいと思います。

「子どもなんて」と思っているのは大人の思いあがりで、どうしてどうして小さな心で大人顔負けのことを考えているんです。困難に直面した時にも、親が心配する以上に意外にたくましいかも知れません。子どもを一人の人間として尊重して接してあげて下さい。子どもは、体や心は未熟でも、魂は一緒、同等であると思うのです。ぜひ、そういう気持ちで接してみてください。

 ついでですが、子どもは育てたように育ちます。たとえば子どもは育てたように育つ。こう書けば当たり前に聞こえますけれど、本当なんです。「いい子だ、いい子だ」といい続けて育てればいい子に育ちます。「お前はダメだ。悪い子だ」と言って育て続ければいい子になんかなれるはずがありません。詳しくは言いませんが、これは心理学的にも証明されています。親切に接して育てれば親切に育ちますし、意地悪をして育てれば意地悪になりがちです。あるいは、人間として尊重して育てれば、他人を尊重する人に育つでしょう。バカにしてばかりいると、人をバカにし出します。ぜひ育って欲しいようにその通り育ててください。

あんまり脅かさないでください、お母さん。よく言いませんか?

「なんでそんなことするの?」

「どうして~したの?」

どちらかといえば幼児期は、「なんで」って聞いたってダメなんですね。なんでやったかって子どもの立場から考えればそれはもう、「やりたかったからやった」「たたきたいからたたいた」それしかないんです。理由なんてあまり関係ない。そういう質問を続けると、そのうち言い訳というものを憶えて使い始めるでしょう。言い訳の仕方を仕込んでいるようなものです。たたいたら「なんでたたくの~!」なんていわないで、「たたかないで」と言う。それで充分です。

あんまり脅かさないでください、お母さん。その2。

スーパーや公園、保育園や幼稚園の送迎の際など。昔からいるんですけれど。子どもが言うこと聞かないと脅かすお母さん。

「もーー行っちゃうよ。」「もーー何々しないと何々だよ。」

「もーいい加減にして。」

ひどいのになると、

「もうーー知らないよ。」だれが何を知らないんでしょうね。「知らないよ」は、私はあまり好きなことばではありません。誰が何をしらないんでしょうかね?一種脅かしですね。

も~にはどちらかというと否定的な言葉が続くことが多い。「もう~いっちゃうよ」といって本当に行っちゃった人を見たことがない。言行一致が大切ですね。行っちゃうと言ったら行っちゃってください。もし、行けないなら言わないでください。

ちょっと大きくなってくれば、そう小学校高学年ぐらいでしょうか、たとえば子どもが好き嫌いや食べものを粗末にしたりして、親が怒って「もうご飯作らないから」なんていうと、「そう言ったって、どうせまた作るくせに」なんて切り替えされますよ。

それからよくある話が、「お母さんのいうことが聞けないのなら出ていきなさい」ってどなったら、「はい、それではでていきます。さようなら」といって本当に出て行ってしまう。お母さんは慌てて、「もう遅いから」とか「だれかにさらわれたらどうすんの」なんて言ってごまかして、仕方なく連れて帰る。

子どもは脅かしを見抜きます。そういう時に、「さっきはごめん。出て行けなんていって、お母さんが悪かった。お家に帰ってください」と言えるお母さんならよいお母さんだと思いますよ。

次はことば掛けのヒントです。まず簡単なところから。

「否定語は言い換えられる」

否定的呼びかけはなるべく避けるといいでしょう。否定的な表現は言い換えられます。

「お外にでちゃだめ」は、「おうちにいようね」「はしっちゃだめ」は「あるいて」もっと簡単なのは、「うるさい~」は、「静かにして」

それから順番の言い換えですね。「~しないと~出来ないよ」は、「~したら~出来るよ」

「ご飯を食べないと遊びに行けないよ」は。「ご飯を食べたら遊びに行こうね」

「~出来ないよ」「~出来ないよ」といわれ続けるのと「~出来るよ」「~出来るよ」といわれ続ける。ずっと続けると、この積み重ねは大きいです。

誰でも簡単に出来る受け答え方法をもうひとつお知らせしましょう。

子ども「痛い!」

親「いたくないいたくない」

そんなわけない、やっぱり痛いんですよ。自分自身に置き換えて考えてみてください。皆さんが具合悪くてお医者さんに行って、「おなかが痛いのですが」と言った時に、すかさず医者に「大丈夫、痛くない痛くない」なんて言われたら、医者を張り倒すかもしれませんね?

話はそれますが、自分に置き換えて、あるいは一般的な大人に当てはめて、「ふざけるな」と怒っちゃうような受け答えは、子どもにとってもやっぱり「ふざけるな」って怒っちゃう受け答えなんですよね。そういう意味で、子どもに対しても一人の人間として、真剣に向き合おう、ちゃんと応対しようというのが岩波幼稚園の方針としてあるのです。

さて、話は戻りますが、ではなんと答えるか

子ども「痛い!」

親「そう、痛いのね~」

と答えます。

「そう、何々なのね」

は大変便利な対応の仕方です。確認の作業、同調、共感など、とにかく分かってくれたという感じがする。思春期の、特に反抗期の対応の仕方としても有効です。